
福祉施設等においても、人材採用や定着のために賃金の引き上げ等が行われています。ここでは、2018年11月に発表された調査結果(※)から、2018年の福祉施設等における賃金の引き上げ状況をみていきます。
上記調査結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の1ヶ月当たりの1人平均賃金額(以下、平均賃金)を引き上げた・引き上げる企業(以下、引き上げ企業)の割合は、表1のとおりです。
2018年の引き上げ企業の割合は93.0%となりました。2017年より1.3ポイントの減少ですが、回答企業全体(以下、全体)の割合よりも、医療,福祉の方が引き上げ企業の割合が高くなっています。
なお、医療,福祉で2018年に賃金引き下げを実施した企業はなく、賃金改定を実施しない割合は、4.3%(全体は5.9%)となっています。


次に、医療,福祉の平均賃金の改定額をまとめると、表2のとおりです。
2018年の改定額は3,632円で、2017年よりも901円の減少となりました。2018年の全体の改定額は5,675円で、医療,福祉よりも2,000円程度高くなっていることがわかります。


最後に表3の平均賃金の改定率をみると、医療,福祉の2018年は1.7%で、2017年の2.1%から0.4ポイント減少しました。
なお、全体の改定率は2017、18年とも2.0%となっています。

この結果をみる限り、医療,福祉は、全体よりも平均賃金引き上げ企業の割合は高いものの、改定額と改定率が低くなっています。ここでの結果は比較的規模の大きな企業のものですが、新年度に向けて賃金の改定を検討している福祉施設等では、これらをひとつの目安にしてもよいかもしれません。
(※)厚生労働省「平成30年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
会社組織の民営企業を対象に、産業別及び企業規模別に3,543社を抽出して2018年8月に実施した調査です。有効回答企業数は1,779社、有効回答率は50.2%です。なお、ここでの結果は常用労働者100人以上の企業(調査客体企業数は3,212社、有効回答企業数は1,578社)について集計したものです。
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